【とんだ夏の贈物】
7月1日(土)2時半までのハワイ大学のズームが終わり、レストルームのドアを開けて吃驚した。床一杯水があふれ、まさに廊下に流れんとしていた。
「ポタッ ポタッ」の音に天井を仰ぎ見ると、シャワー室の上に亀裂が入り水が滴り落ちている。 オトイレどころでなくなり床の水を拭きとるのに懸命。そしたらリビングの方でもやはり「ポタッ、ポタッ」という雑音がする。目を向けると、リビングの上の角の天井の一部がイソギンチャクのように膨らみ、そこから水が垂れている音だった。
あいにく彼は留守。即電話をしたものの4、50分は帰れない状況。
週末とあってこのアパートメントのオフィスも締まっており、何とか応急処置をしてもらうよう通訳代わりの彼女にお願いするが、結局この日は隣人も留守で手の尽くしようが無く、無為に過ごす。
翌日曜日の朝、幸いにお隣のご婦人が部屋の状況を見、即何処かへ電話をかけてくれ、午後にこのビルのマネージャーと二人の男性が土足でずかずか入ってきた。
検分するという。抵抗があったが、もう足元なんかかまっていられない。
結局、水漏れの原因は階上の部屋の洗濯機の水が長い間漏れていたらしい。
月曜日の朝、連絡も無しに昨日の3人が現われ、これから水を止めるという。
私達は戸惑った。
かって彼は、ハワイで似たような経験をし10日間ホテル住まいをしたとかで、又ホテル住まいを余儀なくされるのかとやりきれない気分で、通じないながらも懸命に
何とかならないか交渉。挙句、キッチンと洗濯機、冷蔵庫のアイスの水を止めるという紙を渡され、シャワーとオトイレは使えるとわかり、ほっと安堵する。
翌日はマネージャーと見知らぬ男性が4人、センサーのようなもので壁から天井を投影していた。また英語の紙を渡され通訳代わりの彼女に連絡、話をして頂く。
当初は、食器やカップなどの洗い物を極力少なくする意味で、3食全てテイクアウトをし、バランスを考えながら分けて食べていた。そのうち二人とも飽きてしまった。
オトイレの狭い手洗いの水で、果物や野菜を洗っても死ぬ事はあるまいと、面倒でも
少しづつ根気よく洗ってサラダや煮物などを作り始めた。
レストルームとキッチンを食器類からボウルやお鍋、まな板など抱えて行ったりきたり、。 この不便さがいつまで続くのかと、当たり前のように使っていた水道の有難さを痛感する。
この状態で1週間が過ぎ、階上の保険会社の許可が下りたとかで、水漏れの施工業者の日程が決まる。日程が決まれば修理をした日に流しの水も使えるのかと、淡い期待を抱いていた。
そしたら屈強な男性が二人、山のようなビニールの束と何かの装置のような機械を運び込んできた。英語だかスペイン語だかで早口で話し始め、リビングのテーブル類の全てを移動、空間状態に。
瞬く間に、ビニールでサウナ風呂のような部屋を2つ作り、流し近くの壁を壊し始めた。そしてベランダにビニールの長い円筒のチューブの筒を装置して動かないように固定。次にその機械を部屋に運び込んでスイッチを入れた。
凄~いモーターの騒音が部屋中に鳴り響いた。そしてサウナ風呂のような部屋の入り口に英語とスペイン語で表示された張り髪が2部張られた。
それを読んで吃驚した。「アスベスト,危険!」
なんとアスベストの検査と老廃物を駆除する機械だったのである。 築年数が古いために、アスベストの検査をしなければならないらしく、プラマーのOKが出るまで装置が外せないと言う。
その日からベッドルームのドアを閉めてもうるさく良く眠れない日が続いた。
しかもリビングのライトが張り巡らされたビニール装置のためにうす暗くなり、飲んでも食べてもモーター騒音の中での食事に味も半減。
何とかの祟り目、、とぼやいたところでどうにもならず、水の不自由さもさりながら
騒音のうるささに辟易し、神経を逆なでされるようなこんな状態がいつまで続くのかと思うと、ついつい二人の口調もきつくなり感情がささくれてしまいそうであった。
このモーター騒音の中で金曜日のズームはとても無理だと諦めていた。
金曜の朝、突然プラマーが検査に来て、流しの水が午後から使えるという吉報!。
やれ嬉しやと思いつつも相変わらずの騒音。そしたら4時近くになって装置を外す人が、。 リビングの雑然さも気にならず、騒音から解放された安堵感と流しや洗濯機が使える有難さで気分は晴天! 改めて感謝する。
これからの天井の水漏れ・床の張り直し・壁の施工業者は夫々違うらしく、見積もりに来たかと思うと3~4日して玄関入り口の床張りに突然来たり、事前予約など全く無視。
英語が分からず、幸い我々が費用を負担する必要がない分、施工業者や保険会社、管理会社で勝手に日にちを決めている感じがするが、果たして前の落ち着いた空間と生活に戻れるのは何時の事やら、全く予測がつかない昨今である。
真夏の夢ならぬ、予想外の夏真の贈物でした。
K/和子
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