Mokuyo Gosankai 古事記朗読会を開催





ハワイで初の「古事記」朗読会を開催
           1212日の木曜午餐会で

 日本最古の書物と言われる「古事記」。天地開闢(かいびゃく)の始めから推古天皇(在位592628年)までに至る、いにしえの日本の物語が記されている重要な文献である。しかしながら学校教育でその内容に触れる機会を失った戦後、ほとんど顧みらることがなくなってしまった。昭和―平成―令和へ、と奇しくも日本の御代替わりと時を同じくして、ここハワイでは日蓮宗のホノルル妙法寺で5月から「古事記を読む」勉強会がスタートした。ハワイで101年の歴史を持つ木曜午餐会は1212日にマキキ聖城キリスト教会で、オーストラリア、イタリア、ブラジルなど世界各地で朗読会を続けている荻野恵美子さんを迎えて「日本から世界へ~平和の学びを日本の神話から」と題した朗読会を開催する。
 「古事記」は“ふることぶみ”とも読まれ、口伝で伝えられてきた伝承や系譜を天武天皇(在位673686年)が編纂を命じて、稗田阿礼(ひえだのあれ)に暗唱させた。天武天皇の崩御後、編纂作業が中断するが、奈良時代最初の女帝・元明天皇(在位707715年)が再び、阿礼の語る内容を太安万侶(おおのやすまろ)に筆録させて紀元712年に完成した、と言われている。ホノルル妙法寺での勉強会の講師を務めるハワイ出雲大社の神職・宮坂純氏は「古代の語り部によって口承されてきた経緯を持つ古事記は黙読するものではなく、“詠む”のです。抒情詩であり、時には劇詩として朗読される神話です。だから勉強会でも現代語訳ではなく、原文の書下ろしを声を出して読みながら、心で感じるようにしています」と朗読によるリズムを強調している。

「因幡のしろ兎」の昔ばなしも古事記から
 「古事記」には多くの神々が登場し、様々な神話が展開されている。馴染み深い神様を挙げると、最初に登場するのが日本列島の国造りをした伊邪那岐命(いざなきのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)。そして天照大御神(あまてらすおおみかみ)、八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した須佐之男命(すさのおのみこと)、因幡のしろ兎で有名な大国主命(おおくにぬしのみこと)などなど。小学校の教科書で学んだり「まんが日本昔ばなし」でも取り上げられているが、原典が「古事記」であることを知らない人も多いようだ。
 木曜午餐会では、これに先立って1121日に宮坂純氏による「古事記の世界観」と題した講演会で、古事記の時代背景などについての勉強会を開催する。
 荻野さんが古事記朗読の活動を始めたきっかけは、1995年に起きた阪神淡路大震災を経験したことから。「震災で迷い悩む人々を見てラジオを通じて母から素晴らしいお話だからと授かった古事記を朗読したところ心が優しく癒されました。生きる勇気が出ましたなどと反響を浴び、日本に伝わる素晴らしい伝承物語の教えが世界の人々の心を豊かにし、平和な世界を築く事が出来ると感じ、
各地に伝承することを始めました」という。
今回のハワイ公演に関して荻野さんは「各国各地での神話の朗読公演の招致を受けて感じる事は、海外にいらっしゃる日本人または日系人の皆様が、祖国の大切な伝承物語を再確認して自身が日本人である誇りを持ちたいと言う気持ちが、日本の国にいる人々より強いことを知ります。今の日本では日本語すらまともに扱えない人達も少なくない世の中です。私達の大切な言語 素晴らしい日本語、大和言葉、ことだまと共に神話を伝えるのが私の使命だと思っています。国内はもとより、海外でも広めたいと呼ばれるところへは時間の許す限り参りたいと思っております」と多くの人が朗読会に参加してくれるよう期待を寄せている。
神話朗読を通じて世界の平和に
 荻野さんは、これまで伊勢神宮の外宮で国歌斉唱に添えて「天地創造物語」の朗読をしたほか淡路島にある日本最古の伊弉諾(いざなぎ)神宮では「国生み神話」など、また海外では2017年西オーストラリア州パースで兵庫県提携姉妹都市35周年記念祝賀会で「古事記」朗読、2017年イタリアのダマヌール神殿にて「古事記」朗読。また2018年ブラジル移民110周年記念式典に兵庫県使節団としてサンパウロにて日本人県人会で古事記を朗読。2019年広島原爆の日・平和の祭典では「新地球創世物語」として古事記を朗読してきた。現在は、日本在住のフランス人画家マーク・エステル氏の古事記画に依頼を受けて子どもたちにも伝わる古事記物語執筆、ナレーションDVDを制作中。荻野さんの活動についてはhttps://www.kotodamavoice.com を参考にして下さい。またホノルル妙法寺での古事記の勉強会への問い合わせは(808524-7790の山村先生迄。
木曜午餐会は毎週木曜日午後12時半から午後1時半まで、マキキ聖城キリスト教会の付属施設を借りて講演会を開催しているが、1212日の「古事記朗読会」は午後12時半から2時まで、マキキ教会の本堂の2階の大ホールで開催する。木曜午餐会の会員は無料、非会員の方には施設利用料の一部として2ドルの寄付をお願いしている。

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