<7時間の饗宴>
喉に障害のある彼女は、お孫さん達が週1回訪れるだけで、用事以外の外出は極力避けていて、電話での会話も聞き苦しいからとあまり話したがりません。
2020年2月ごろからのコロナ禍で自粛要請の生活が続く中でなかで、やっと10人まで会う事が可能になり、その彼女の提案で、お部屋でお喋り会をやろうという事に。6~7人位まで大丈夫というテーブルがあるとかで、人選を任されました。先ず、彼女がご招待したい方に打診、同伴で気持ちよく了承して頂き、彼女と私が係わっている主宰の女性も快く喜んで賛同して下さり、そして我々同伴と、シニアを豪語している6人です。2021年4月末日の12時から、ポトラック形式で飲み物は各自持参。コロナが蔓延する前は、お互い挨拶はしていたものの、お喋りとしての集まりは皆初めて同士。彼女手作りのポテトコロッケにお赤飯、殿方ご自慢のスパムむすびに定番ほうれん草ナムル、和食好みという短歌会主宰の彼女は肉団子に梅キャベツ和え、私の相棒は自慢の稲荷そばとナス炒め、茶豆などなど。テーブル狭しと持ち寄った品々が食されるのを待っています。
ホステス役の彼女の挨拶を聞きながらお互い、「ヤー」という軽い紹介で宴が始まりました。皆、ワインを片手に美味そうな品々へ目が泳いでいます。乾杯が終わるや否や、待ってましたとばかり、各自、取り皿に盛りながら宴の始まりです。お日様はちょうど真上にありました。高層階のラナイ(ベランダのこと)からは世界一ラウンド数が多いとギネスブックにも載ったアラワイ・ゴルフコースが見下ろせます。何というぜいたくな空間でしょう。ほとんどが初対面同志みたいなこのグループ。どんな流れになっていくか見当もつきませんでしたが、成り行きに任せることに。
ところが、オトイレ以外は席を立つ気配もなく、尽きない話題の豊富さ、相手への適度な深いりに花が咲き、それぞれなりに酩酊してるものだから、私を初め皆何を話したのか殆ど覚えていなかったのではないでしょうか。時間とアルコールが体に程よく馴染んでき、夕闇の気配に最初の内は気が付いていました。けれど次から次への話題で席を立つのももどかしく、時間の観念など何処吹く風に、、。気が付いたら何と夜の7時、外は真っ暗です。慌てて女性陣が手分けして後片付けを。
エレベーターを降りてゲストパーキングに戻ると制限時間の6時間を遥かにオーバーして警告の張り紙が車にぺったり。彼女への迷惑が及ばないことを願いながら、皆で痛く反省し合いました。でも、快く場所を提供して下さった彼女と、とんと忘れてしまったほどの饗宴に感謝しつつ、皆さんありがとう!7時間よ、ありがとう!!
(K/和子)
0 件のコメント:
コメントを投稿