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 「Valley of Fire」を再訪 

 「Valley of Fire」の魅力にはまった私たち2人は、2週間後に時間帯を変えてもう一度チャレンジしました。

  

やはり太陽が燦々と輝く華氏107度(摂氏41.7度)の昼下がり、再訪を待ってくれてたかのように、早速の野生ヤギとの出会いに興奮してきます。「キャンプ・グラウンド」や「アトラティ・ロック」はすぐ分かったものの、前回は「次回にとっておこう」と期待していたビューポイントの「アーチ・ロック」。立てかけてある看板はすぐに見つかったものの、岩の形
がどうもアーチ状でない。「違うんじゃない?」「あれ?おかしいんじゃない?」ウロウロ、キョロキョロしながら、でも「アーチ・ロック」が見つからない。「看板はあるのにおかしいね」と話している矢先、他の見学者家族の父親が岩の後ろのブッシュを500メートルほどどんどん歩いていって振り返り、手で大きくアーチのジェスチャーをしているではないですか。私たちも父親に「ありがとう!」の身振りをしながら彼のいる方向に歩いて行って振り返ると、浸食で岩のはるか上方が見事なアーチになっていたのです。「灯台下暗し」ってこういうことを言うのかしら。

 次は岩に絵が描かれてある「レインボウ・ヴィスタ」から1マイル(1.6キロ)ほどのトレイルに挑戦することにしました。膝の悪い相棒も107度近い炎天下を、岩絵見たさにサポーターを着け歩き始めたのにはびっくりしましたが、赤い砂が足首までのめり込み足を入れ替えるたびに「歩きにくい」。ついに半マイルほどで断念してしまいました。ここまで来たものの「行きも帰りも怖い」。相棒は案内の標識につかまりながら一足、一足、まさに這うようにしてやっと車に戻れたのです。 

 私は頑張ります。若い女性たちが「熱い!熱い!」と顔を真っ赤にして戻ってくるなり、すれ違いざまに「水を忘れないように!」うめき声を掛けてくれる。慌てて車まで水を取りに返りました。私もこの異常な暑さと柔らかい砂のため歩きにくさに音を上げ、何度か「もう引き返そうか」と思いつつも、それを我慢してついに目的地にたどり着きました。描かれた絵を見た瞬間に、それまでの汗と涙の苦労はどこへやら、先住民の日常に想いを馳せ感無量でした。来てよかった。さらに「Valley of Fire」の魅力に取り付かれたのです。

 「ファイアー・ウエイブ」を見たあと、「ヒストリック・キャビン」「エレファント・ロック」に行く途中、両側の赤岩が織りなす様々な恐竜や動物の擬態岩が沢山あり過ぎてどのようにこの感動を表現していいか分かりません。後続車や対向車にも殆ど会わず、至る所でシャッターを切っていたはずなのに、心はいつの間にか私自身が恐竜達の中にいて、太古の一人として共生しているような思いにタイムスリップしている私でした。

 今は砂漠地帯にあるラスベガスも、海だった時代があったかと思えば火山が爆発、陸地が動き、海が山に変わる。昔々の1億年ほど前は、熱帯のように熱い半面、雨がよく振り川が流れ、マグノリアの木が育ち、シダが茂っていたとか。まるでジュラシック・パークの映画のような世界。熱帯雨林の中を闊歩する恐竜が現れ、そして恐竜が絶滅した後に生き残った小さな哺乳類。鳥、爬虫類、生物は変化を続け、それらが滅びて次の動物や植物が現れた。冷たい氷に閉ざされた世界がやって来ては滅び、「悠久という時間」をかけてゆっくり変化してきて、やがて人間が現れた。何億年もかかって自然浸食され、今も侵食し続けている岩々の穴や洞窟の中で植物や木々の芽を食料にして動物が生息し、人間が生活していたらしい。


 ネバタ州では度重なる地殻変動などで岩が散らばり、山の頂上で5億年前の木の葉の化石が見つかったり、1億年前の地層が山の麓にあるという具合で地層がごちゃ混ぜになっているらしく、「Valley of Fire」でも、気の遠くなるような幅広ーい時代の、それも陸海両方の動植物の化石や、初期の恐竜たちやその足跡なども見つかっているらしい。

 最近の話では2008年にネバタ州の、しかも私と相棒の愛する「Valley of Fire」で新種の恐竜の化石の存在が公表され、名前は「ネバダの走者」とか。その恐竜の化石があるという「科学サイエンスセンター」を訪れてみました。担当者の話では「恐竜と言っても、多分七面鳥の程の大きさで、大きな恐竜から追いかけられて逃げまくるように走っていたのだろう」と笑いながら話してくれました。

 聞かされて知れば知るほど増々興味津々。何回か通ううちにいずれ私たちも実際の恐竜の化石にも出会うかもしれないと夢を見ながら、又の機会を待っているこの頃です。

                                 K/和子

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