お行儀のいい?ラスベガス
ラスベガスはこの夏、予想外の大雨に見舞われ街の至る所で洪水が起きました。モンスーンのような大雨で、ラスベガスの各地域でパーキングに行く事も出来なかったとか、スーパーで閉じ込められ出るに出られなかったとか、結構話題になりました。
幸いなことに、我が住まいの地域は夜中には降られこそすれ、朝になれば青空が広がり散歩にも困らず実を言うと、各地の災難を全く知らなかったのです。
ところが日本の友達から電話があり「7月下旬の大雨で、カジノの地下駐車場が洪水となり、急流さながらの鉄砲水が流れている映像が全国ニュースで流され、衝撃的な映像だったわよ。とても心配になって電話をしたけど、大丈夫でしたか」との心優しい内容でした。私たちは「えっ、そうだったの?」と逆に驚き、地元のニュースを日本経由で知るなんてまさに極楽とんぼそのもの。好奇心満載の私たち2人は、ニュースになったとなったカジノの駐車場へ直行。「なるほど」。水が引いた跡が残り、どろどろの小さな塊の残渣があちこちに見られたのです。
地元クラーク軍地域洪水制御地区のゼネラルマネージャーの弁によると、テレビでの画像は衝撃的なものでも、あの時の荒々しい水の流れは、実は洪水調節水路が設けられた設計道路に流されていて、水路に行きつく前の余分な水が駐車場を浸水する傾向があったとの事。しかも、カジノ周辺の洪水は駐車場構造物が取り除かれない限り技術者も修正できず、ラスベガスの水を保持するため102の貯水池を備えた677マイルの水路を通る雨水排水間のエンジニアリング設計になっているのだそうです。だからと言って、危険ではないという保証は出来ず、好奇心の為にたたずんでいた男性が流されていく映像が写っていたらしいです。好奇心もほどほどにしないと危ないですね。
「へぇーっ」と感心しつつ、今度はラスベガスの命の水・ミード湖の水位が下がり続けているという不穏なニュースも耳にしていたので、どんな状況か行って見る事にしました。年齢の割には未だ好奇心が衰えない2人は、気になるとどこへでも出かけます。若さの秘訣ですね。
一見何の変化も感じない穏やかなリゾート地の湖のように眺めていたのですが、管理事務
所の方の話ですと、ボートを繋いでいる浮桟橋の周りには水が無くなっているし、水底に沈められた船が浮かび上がってきたり、謎の死体が発見されるニュースが話題に上がる程ミード湖(左の写真)の水位が下がり始めているとか。
水が出るのを当たり前とし、ふんだんに使っていた後ろめたさを多少反省しながら、水位が下がり始めている要因が何かを素人なりにちょっと調べてみました。
琵琶湖の2倍はある人造湖・ミード湖の水源は、2300キロ以上も流れるコロラド川の恩恵を受けているそうです。西部の7つの州(コロラド州、ワイオミング州、ニューメキシコ州、ユタ州、カルフォルニア州、アリゾナ州、ネバダ州)に加えてメキシコと先住民族を含む、凡そ4000万人の人々と400万エーカーの農地に水を供給。しかし過去20年以上にわたる極度な干ばつで、川の渇水がますます深刻な問題になってきたそうです。
「水のルール」とかがあって、2021年、第一段階として史上初の水不足宣言が発せられたのに続き、今年の8月16日2段階目の水不足を宣言、運用条件は州によって違いますが、ネバダ州は年間割り当ての8%の減水となりました。
昨年の第1段階の水不足宣言で、コロラド川のシステムを守るためと言いながらも、一番沢山使っているカルフォルニア州には減水の割り当てがないのはどういうことかしら? 何とも納得がいかない発表に、関係者各位は水のルールの複雑さを感じたとの事です。
膨大な節水プランのコロラド川流域のパートナーシップ同士、協力し合って合意していく解決策を打ち出せるように推進していく必要があり、川の水、地下水などの水資源を利用する権利は「水利権」と呼ばれてい、各州で定義が定められているようです。
1922年に署名されたコロラド・リバー・コンパクトと呼ばれる河川協定では、州のうちネバダ州が使えるコロラド川の水は、全体の約2パーセントに満たないらしい。もっとも、100年前のネバダ州の人口は4859+2304人であり、産業もわずかだったためもある。又契約上の水と実際の水とでは、水量が違っていたとか。
2019年に、「コロラド川干ばつ緊急事態に関する協定」が結ばれました。背景としてはアメリカ西部の人口増加、温暖化の影響もあって水源であるロッキー山脈の積雪が極端に減っている事、さらに1千年に一度と言われる干ばつが毎年続き、コロラド川の渇水が深刻になって、パウエル湖(右の写真)とミード湖の水位の低下が、水力発電に必要なレベルを下回る可能性も大とか。それ程水の問題は切実のようでした。
一方、ラスベガスを含む南ネバダ州は、人口が75万人増えても、使用する水量を26%削減させているそうです。それはラスベガス渇水対策として徹底した水のリサイクルを行っている事が大きく、南ネバダの発展はこの水対策の由縁でもあるとか。
ホテルの宿泊客がシャワーを浴びた水も、家庭内の水も下水道を通して一度ミード湖にもどされています。もちろん汚水処理をし、水路を経由してですから心配はありません。また、雨水を捉えるシステムも充実していて、時々しか降らない雨でも、その水はミード湖に流れるように、排水システムの水路が作られているのです。ただ、庭や植木の水の野外用はリサイクルが出来ず、不要な芝生の取り外しなど、節水につなげる工夫を求められているそうですが。
ラスベガスがミード湖のすぐ近くにあることから、まるでラスベガスが水をお構いなしに使っているので水が足りなくなったと思われているそうです。ところが、使ったお水の殆どをきれいにしてお返ししているのが実情。私たち住民にしてみれば、褒められこそすれ、非難されるのは筋違いで、ネバダの問題だけでない利権が絡み合った複雑さが問題のようです。(南ネバダ水道局長を25年近く勤めたバット・マーロイ氏がネバダの公共ラジオ番組のステイト・オブ・ネバダに出演した時の記事より)
この夏はモンスーンのような雨が何度か降り、街の至る所で洪水が起きました。お陰でミード湖の水位が3フィートばかり上昇したというのは、ちょっとほっとさせてくれます。けれど、それは河水の根本的な解決になっていないのも事実です。
8月16日の水不足宣言での「水が使えなくなる?」不安は全然なく、使う分の水はすでに節水できているので生活の中で水の量が減ることは無いそうです。内心「ほっ」としたものの、世界各地で起こっている水の災害や被害、断水などに心を通わせ、一人一人水は大切にして使っていかなければと改めて痛感させられました。命の水を大切に致しましょう!
K/和子
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