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「グリーティング」

 イギリス人は、電話を掛ける際に前もって「〇月×日の△時に電話をして宜しいですか?」と手紙を書くと言う。真偽の程は定かでないが、羽根の付いたペンが、インク瓶と便箋を往復する様が十分に想像できる。

 アメリカ人は新し物好きだけど、実はグリーティング・カードも大好き。誕生日やクリスマスだけではなく、一年中の行事ごとに送ったりする。驚くことに、それらの行事用カードが作られているので、カード専門店の経営が成り立つというのも理解できる。

 「ボスの日」や「秘書の日」などは有名だが、「アイスクリームの日」というのもある。これ、レーガン大統領が制定したというのだから、アイスクリーム屋さんはお墨付きの商売だ。

 これらの記念日は、実は誰にでも申請が出来る。Nationaldaycalendar.com?にアクセスして、"Register a National Day"から申請をすればOKだ。但し、毎日2万件を越える申請があるので、審議され採用される確率はかなり低い。同様に、日本にも記念日協会なる法人がある。自分のオリジナル記念日を申請したい方はこちらへ→https://www.kinenbi.gr.jp/ 

 さて、その記念日に因んだ数多くのカード、詩や格言や聖書の聖句、洒落たジョークなどが既に印刷されているので、英文を書くのに一苦労要る私にとっては実に便利でありがたい。


 結婚の報せや訃報など来ると、カードを買い、サインをして小切手を挟んで送る。サインにはwith much ALOHAなんて書くと南国風になる。冠婚葬祭に関連する贈り物が、このカード1枚で済むのもスマートだが、物寂しく思う人もいるかもしれない。

 受け取った側はThank you Cardを送るのみ。お返しの習慣が無いとは言え、たまに郵便切手を入れたりすることもある。この郵便切手、20枚綴りのステッカー状になったForever Stampと呼ばれるものがあり、郵便料が値上がりしても使える優れモノ。だからForever=永遠なのでろう。「郵便料金が値上がりするから、切手を買いだめしなくちゃ!」というジョークもアメリカでは通用しない。

 11月の声を聞くと、年末の挨拶や賀状の準備に慌てる頃だ。ひとしきり、家庭で印刷できる家庭用簡易孔版印刷器が流行った時期もあった。インターネットが普及してからは、Eカードなどに切り替わり、その反動からか手書きブームも巻き返した。いやいや虚礼廃止だと看板を掲げる御仁も増えたりと、通信業も様々な影響を受けている。年末限定の郵便料金値上げニュースがあったが、その後どうなったのだろうか。私もイギリス人を真似て、一筆書いてみたいと思うが、先ずはお習字の練習が要るようだ。

 余談だが、病気で入院した人へのお見舞いにはお金は贈らない。お見舞いは殆どが花で、しかも鉢植えが一般的。「根つく」→「寝つく」の語呂合わせが無いからだ。もちろんカードを忘れずに。

                         *****リリコイ***** 

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