「歯のアラカルト」その2
幼少期の乳歯、 この時期は丈夫に育つように、丈夫な歯になりますようにと「歯固め」と言う言葉を名付け、年の初めの言葉として使われ始めたとか。平安時代には宮中で行われる「歯固めの儀式」があったようで、というのも歯には年齢の意味があり、歯の健康は長寿につながるとの認識があったようです。又「歯固め」には歳を固めて新たに生まれ変わるという意味もあり、歯は人生において重要な役割を占めていると考えている人が多くいた事になります。俳句での季語とは謂れに<ずれ>があるようですが、Web上で調べる事が出来るので触れず、重要な役割を占めている例を一つ書きましょう。
例えば、一昨年末、日本人実業家が宇宙に行き、金額はさておき、宇宙が身近に感じた出来事でしたよね。
宇宙飛行士は虫歯があるとなれません。虫歯が歯の神経まで行くと、炎症によりガスが出ます。歯の圧力が高くなり痛みとして感じます。宇宙船内では気圧が低いので、地上に入る時より激しい痛みに襲われます。同じことで虫歯があると飛行機のパイロットにはなれません。もし、宇宙で歯が痛くなったらどうするでしょう?
歯の治療道具は輸送費が異常に高く持っていけないそうです。そのため痛み止めを飲んでも効かなければ、宇宙飛行士同士で抜くそうです。救急医療セットに歯を抜く道具があり、抜歯訓練も行うそうです。歯磨きも当然行います。無重力のため体を固定し、歯ブラシを小さく動かします。水滴が漂わないように、ブクブクうがいをして飲み込みます。無理な人はティッシュに吸わすそうです。歯ブラシの後、指先でマッサージをすることもあります。無重力で体液が上の方に移動し、むかむかするからだそうです。
では、総入れ歯ならいいだろうと思うあなた! 残念です!もし入れ歯が壊れたら食事も取れず、言葉も聞き取れないため、やはりなれないそうです。でも皆さんは地上にいるので、歯ブラシをしっかりすれば大丈夫です。宇宙に行ける日が待ち遠しいですね。
「歯のアラカルト」その3
雑学です。日本各地に、歯にまつわる神様が沢山あるのをご存知ですか?
(1)虫歯の神様(長野県)
ます。あちこちにあるらしいが、ここが本家本元とか。この神社で「歯を患った者が3年間、梨を絶って参拝すると平癒する」と劇作家の十返舎一九の著書「戸隠善光寺往来」に記されているとか。歯痛に悩む江戸の人々は、平癒祈願をする際、梨の実に自分の名前や病む場所を書いて戸隠山の方を向いて祈った後、梨の実を川に流す風習を行っていたらしいです。御利益があるか気になる方は、お参りして下さい。自然の力(杉並木)に癒されて、行って来るだけでもパワーが頂けますよ。
(2)味噌なめ地蔵(群馬県)
このお地蔵さんは、口の周りに味噌がたくさんついています。歯痛の時や体の痛みがある時に。このお地蔵さんに味噌を塗り、祈願すると直ると言われている。何故、味噌かと言うと、発熱や歯痛の時に味噌を塗ると熱冷ましの効果があると言われているからだそうです。そう言えば私が小さな時に、実家の祖母が身体のどこかに味噌を塗っていた記憶がかすかにありましたね。
(3)歯の仏(宮城県)
真田阿梅(幸村の娘)・大八の石像は、頬杖をついて瞑想しているポーズをしているので、周りの人々が、歯痛で痛い頬を押さえているように見えるため呼んだそうです。
(4)ぬりこべ地蔵(京都府)
なぜかと言うと、①昔、土を塗った壁に安置されていたから ②塗り込めと言う言葉が、病を封じ込めるという意味に転じ、歯の痛み・歯痛を封じるご利益があると、自然に呼ばれるようになったようです。「塗り込め」とは貴族の邸宅の寝室のことをいうそうで、四方を土塀で塗りこんでその中に稔侍仏を祀り悪鬼を払い、安らぎを得るという風習があったと言われています。
(5)歯形地蔵(京都府)
このお地蔵さん、もともと「逆さ川地蔵」と呼ばれていました。何故、歯形地蔵になったのでしょうか。昔、川の近くに大工夫婦が暮らしていました。大工の夫はとても容姿がよく、妻は他の女性に取られるのではないかと不安になっていたそうです。ある雨の日、夫が何時までも返ってこないので不安になり迎えに行くと、夫が若い女と相合傘をしているのを目撃。妻はとても怒り、夫に噛みつこうとしました。夫は驚いて近くの「逆さ川地蔵」の陰に隠れたのでしたが、妻は、夫の肩に噛みついたつもりが地蔵に噛みついてしまったというのです。驚いたことにその妻の歯は地蔵さんに食い込んで離れなくなり、妻はそのまま亡くなったのです。ちょうどお坊さんが通りかかり、それは可哀想だとお経をあげると、妻は地蔵から離れることが出来たとか。しかし、地蔵の肩には噛んだ歯形が残ったそうです。そしてその後、「逆さ川地蔵」さんは「歯形地蔵」になったとか。これだけ妻に惚れられた夫を羨ましいと思いますか、それとも。
(6)歯止め神社(大阪府)
昔、近くの川が氾濫して、梅田が水没しかけた事があった。しかしこの神社の大きな石が「歯止め」をしたことから歯止め神社と言われるようになったそうです。また今でも「撫で石」という石を撫でてから歯痛の部分を撫でると、痛みが和らぐとか。
(7)歯の女神・アポロニアについて
日本ではあまりピンとこないと思いますが、ヨーロッパでは聖人・アポロニア(女性・生年不明~249年)が有名です。ローマ帝国時代のアレキサンドリア(現エジプト)で行政官の娘・アポロニアは、キリスト教信仰をやめ、帝国の宗教に改めるよう日々責められたが、それを頑強に拒否し、火あぶりの刑になってしまう。彼女は暴徒に捉えられ、歯を折られ、火あぶりになりそうになったが、逆に自ら火の中に飛び込み、自らの信仰心を示し亡くなっ
た。その時彼女は、「歯痛に苦しむ人が私の名を呼べば、その苦痛から解放されるだろう」と言い残したとされています。その後アポロニアは聖人となり、キリスト教の広がりとともに、聖アポロニア崇拝は急速にヨーロッパに広がったそうです。アポロニアは歯科学や歯痛を患うものの守護聖人となっています。彼女は何時も歯を抜くための鉗子を持っていたそうで、当時は歯の痛みを取り除くには、抜歯が一番の治療だったことが伺われます。
まだまだ歯に関する神様がいますので、関心のある方はぜひ調べて見て下さい。
K/和子
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