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 【アメリカのチップ率について】

 最近のロサンゼルス・タイムズ紙に 、 全米50州のうち、チップ率で「もっとも太っ腹」な住民が多いのはデラウエア州で、「一番ケチ」な住民が多いのはカルフォルニア州という記事が載っていました。この記事を読み、改めてチップという制度について考えてみました。

 旅行者だけに限らずローカルの人達も、チップ社会で生活している以上、チップを置くというか置かなければならない機会は至る所にありますが、どのような状況で、果たしてどのくらいチップを置くかはとても難しいですね。

 


業種によって違いはあるものの、アメリカでは人の手を煩わしたり依頼したり、要するに「人が関与する」タクシー、ドアボーイ、メイド、サービスチャージが入っているレストランなどでも「感謝の報酬としてチップを払う」のが当然のこと誰もが心得ています。

 最近になっては、レストランに入っても勘定書きにあらかじめ「チップ何%」かが提示されてくる場合が多くなりました。満足した場合は当然のようにチップを支払っても、満足のいかないサービスには正直チップを払うのにクエスチョン・マーク(?)になりますよね。しかしその不満足の内容をサーパーとかマネージャーにクレームとして伝え、チップはチップとして支払うのがマナーでありベストとか。私にはちょっと納得がいきかねますが。

 一方、感情に任せ、スモール・コインを置くという話を聞いたりする事もありますが、これは絶対にNGだそうです。.

 交通機関のチップでは、タクシー以外のUber(ウーバー)やLift(リフト)への荷物に対するサービスにはチップを払い、ホテルでもコンドミニアムやAirbnb滞在にはチップは不要だそうです。でもサロンやスパ、バーでのドリンクなどでは1~2ドルが相場とかで、チップ要不要の分野が細かく分かれているのにもかかわらずローカルな人々は体験から使い分けています。

 地元かあるいは観光地に行った場合によってもその差はあるでしょうが、サービス業だけに何%のチップを置くかに迷うケースも多々あり、チップ社会の外国に出かける場合は、事前の準備として知人やガイドブック、あるいはツアー会社より行先でのチップ情報を把握する方々が殆どではないでしょうか。

アメリカ国内で申せば、個人・団体に関係なくツアーで行動する方々には、チップでまごついたり悩んだりしないように「旅行代金に加味されています」と聞かされてるケースが殆どらしいです。それに日本人の大半は旅行会社の言う通りにしがちとか。

 あるツアー・ドライバーの話によりますと、見える苦労と見えない苦労があり、例えば集合時間一つをとっても時間で動くことを理解しない人が意外と多く、そんな人に限って自分さえよければのクチ。中には日本語が通じると分かると、日本感覚の我儘ぶりを発揮、自分中心で人の都合などお構いなし、いったい何様のつもりか、と聞きたいくらいのひどいケースもあるらしいです。ただ、エグゼクティブ・クラスやビジネス・クラスの中には比較的国際マナーをわきまえている方々が多く、個人的にも気遣う方が結構いらっしゃり、アメリカ人や他国のツアー客は当たり前のようにチップを出しているそうです。

 ツアーの日本人客も、数時間や1日のガイドやドライバーからの目に見えないサービスを受けている訳で、それ相応の心遣いをするマナーを備えて欲しいと、話していました。またサービス業に従事する人々はチップが生活を支える糧になっていることも多いです。しかもチップの全部が彼らの手に渡っていない現実を理解して欲しいとのこと。チップ社会での従業員にとって、チップの有無は死活問題につながっているとも述べていました。

 ロサンゼルス・タイムズ紙の記事では、近年、コロナ感染拡大で、サービス業に従事する人々への感謝とチップのインフレという事で、チップ水準が上昇傾向にある点に焦点を当てているようでした。

アメリカではサービス業界で働く労働者の最低賃金が各州レベルで設定されていて、現時点で、最高の時給はワシントン州の15ドル74セントで、カルフォルニア州は2位の15ドル50セント。これに対して、最低はジョージア、ワイオミング両州の5ドル15セントにとどまっており、大きな格差が存在しています。それぞれの住民がレストラン等を利用する際に、このような事情をある程度勘案していれば、チップの多寡にも影響を及ぼしていくのかと思うのですが、あまり関係なさそうな気が致します。

 私の経験では以前こんなことがありました。彼とサンフランシスコのレストランに入った時、家族4人の外国人家族が食事を終わり、お勘定を父親が現金で支払い、ウエートレスがお釣りを持ってきました。父親がチップとしてドル紙幣数枚とコインをお皿に置き、先に席を立ちました。驚いたのは瞬間の出来事でした。子供の次に母親が席を立った時、お皿に出ていた数枚の紙幣をさっとバックの中に押し込んで出口に歩いて行ったのを見て、二人であっけにとられたことがありました。お料理もそこそこでサービスも悪くなく、しかもその家族達はそれなりの服装をしていただけに、母親のその行為に吃驚したのです。

 業界紙の調べでは、時給が高いワシントン州のレストランでのチップ率は18.2%で、極めて平均的とか。しかし時給が2位と高いカルフォルニア州は17.5%で、全米での最低水準とか。物価高とかの影響があると思われますが、とにかく統計的には「カルフォルニア住民はケチ」という事になりましょうか。一方チップ率が最高なのはデラウエア州の21.8%で、以下インディアナ、ワイオミング両州の20.8%です。

「郷に入れば郷に従え」「所の法に矢は立たない」とはいえ、チップを与える側も受け取る側も人間性が正直に表れるチップシステム、皆さんはどのようにお考えになっているでしょうか?

                K/和子 


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