詐欺事件に続いて贈賄事件 ホノルルの醜態連発
またか、と再び失望しています。昨年暮れのホノルル警察署長と元妻の次席検察官の詐欺事件で大騒ぎしたと思ったら、2021年の3月にはホノルル市役所建築課の建築承認許可部の職員の贈賄事件が発覚しました。それも誰かさん一人、ではなく幹部から末端に至るまでゾロゾロ逮捕者が出てくるという始末です。
私が30年前にホノルルに来た頃からでも「建築許可を取るのは申請してから1年から2年はかかります」という噂は聞こえていました。当時は「ハワイのすべてにのんびりしているから」なんて思っていましたが、誰かに付け届けをすれば早めに許認可が出るらしい、という話も聞いていました。30年近くも前の話です。
ハワイ語で「オハナ」という家族を意味する言葉が親しい間ではよく使われます。同じ釜の飯を食えばもう「オハナ」です。一緒にバーベキュー・パーティでもやれば「オハナ」になったりします。仕事をしている人にとっては、重要な意味合いを持ってくることが多々あります。話が飛びますが、日本の首相だった田中角栄さんに似ている部分もあります。彼は人情家でもありました。自分を知っている人にはとても良くしてくれました。選挙区の新潟の人は政府予算をいっぱい地元に持ってきてくれる田中さんが大好きでした。ホノルル市役所のお役人も「人」ですから「オハナ」を優先したくなるのも理解は出来ます。
でもそれでは「正直者は馬鹿を見ます」。自宅を改装したいから、と思って建築許可を得ようと申請しても2年も待たされたまま。豪邸の立ち並ぶホノルル・カハラ地区のある住人は、建築家の友人を頼って「いったいどうなってるの?」と市役所建築課に問い合わせたところ「2,900ドル位(袖の下)渡せばいいらしい」と返事が返ってきたそうです。
正直な話、この噂は30年以上も前から「公然の秘密」のように業界の人々の間では当たり前になっていたようです。ところが市長はじめ、ホノルル警察も検察も誰も手を付けたがらない。どこかで(関係者の)誰かと繋がっている(オハナ)ので、見て見ぬふりをするのが一番だったのかも知れません。
2021年には新しいホノルル市長に変わりました。でも市警察は動きませんでした。最後に出てきたのは連邦検察局です。ローカルの人と「オハナ」の関係性の薄い検察局でなければ摘発に踏み切ることが出来なかったのでしょう。
どうしたら、このような建築許認可の贈収賄をなくすことが出来るのでしょうか?
新聞によると、職員の数が少なすぎて過酷な労働を強いられているので職員をもっと増やせばいい、とか給与をもっと上げて贈賄に手を染めないようにするべきだ、とか。確かに考えてみれば、建築許可を得ようとする人々は、それなりにお金がある人々かも知れないし、それに市職員の給与が低すぎるので「たかっても当然」と言うのは、それでもやはりおかしい。倫理観が全く欠如した思考方法としか思えないです。相手が金持ちであろうと貧乏人であろうと、市民に対する公務員の仕事は公平でなければなりません。「オハナ」であろうが「マリヒニ」(よそ者)であろうとファーストカム・ファーストサービス(先着順)で仕事こなしてもらえないハワイでは外国人が仕事をするのは本当に大変だろうと思うのです。詐欺事件で2年前に辞職したホノルル警察署長に代わって就任したスーザン・バラード署長はこの6月に辞任します。4年のはずが任期途中で退職するのは「オハナ」に溶け込まなかったせいではないかと勘繰ったりします。
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