木曜午餐会のメンバーの方々、並びに参加者の皆さまへ
3月下旬にハワイでも新型コロナ・ウイルスの感染者が確認されてからすでに半年が経ちました。このStay -Homeの自粛期間中、皆様におかれましては色々なご苦労をなさったと思います。今日は、メンバーの方々の暮らしぶり、新たなる提案、あるいは9月に入って急増しています高齢者を狙った犯罪などについてお知らせいたします。少しばかり長くなります。
「昼の間は防空壕に隠れて、夜に食糧をさがしに行っていた当時のことを思い出したりしています」と戦時中の体験を話してくれたメンバーの一人は「私は日課を出来るだけ変えないように生活しています。今日やるべきことは今日中にしてしまう。スキップして明日に回すと、また次の日でもいいやと思うようになってしまったら、どんどん生活がルーズになっていってしまうから。1週間の予定を立ててそのサイクルで生活していたのに、今はカラオケも踊りもダメ、午餐会もだめではすることがないので、サイクルが狂いますね。でも歳だといって自分からわざと歳を取るようなことだけはしないようにしています」と元気に頑張っています。
「こんな時ですから自分で積極的に楽しさを作らなければ。TV体操をやったり読書したりクラシック聞いたりしながら時間を過ごしています」。一昨年、木曜午餐会でグループ訪問したハワイカイのリタイアメント・ホームの見学について「とても立派でしたが、私の住むところではないなと思いました。できれば自宅でパートタイムのお手伝いさんにでも来てもらってここで最後まで暮らしたい」。
「近くにアラモアナセンターがあるので、建物の日陰に隠れながら歩いたりしています、天理文庫には2週間に一度は行きます。人も少なくて穴場ですね。昔読んだけど忘れていることも多く、読み直して再発見することもあります。結構新しい本も入っているので楽しいです。この年になったら、皆で会って話をすることがいかに楽しかったということがよく分かります」とアラモアナ周辺にお住まいのメンバーは天理文庫の利用を勧めてくれました。
そして、講師にもなって頂いたレイノルズ・カツエさんからはお手紙を頂きましたので、紹介させていただきます。
「木曜午餐会の皆さんのご提案を拝見して励まされました。それで思いついたのですが、折々に、経験する人間の強さ、弱さ、愛しさ、悲しさなどを、200字くらいで書いたものを集めて、整理編集して木曜午餐会の民族学的歴史作品にできないでしょうか。コロナ時代、私たち普通の人間が何を感じ、何をしたか。短いものなら俳句とか短歌のようなものでもいいし、100字程度の感想文でも想い出文でも」というご提案がありました。
私もこの提案には賛成です。2020年は後世の歴史に残る分岐点であろうと思います。何らかの形でメンバーの方々の「この時の思い」を記録しておけたらと感じています。皆様のご意見をお寄せいただければ幸いです。
お手紙は続いています。
昨年の2月に民俗学のお話をしてくださった刀根卓代さんから、メール連絡があり、いくつかの「コロナ短歌」も添付されていました。お父上が6月に亡くなられたそうで、お父様への深い温かい思いを歌われた短歌もありました。
感染者の 遺族は最期も ガラス越し 遺体に近づくも 許されざる荼毘
⼊院の ⽗に巻紙 筆に書く ⼿紙はいつしら ⻑き詫び状
詫び状は 恋⽂となりぬ ⽗よりの 電話はいつも 「あんたの夢ばみた」
(卓代さんは、東京在住、お⽗様は確か九州の⽅でした。)
犯罪が多発しています。スーパーマーケットのドン・キホーテ「カへカ店」が舞台になっている事件も多いようです。役員の儀間さんからは
「メンバーでもある80歳代の女性はドンキの薬局で、買い物をしていた時に財布を抜き取られ、その日のうちにウォルマートで500ドル相当のショッピングをされたというのです。幸い薬局の方が機転をきかせてくれていろんなところに連絡してくれたので実害はなかったようです」という報告がありました。
また「ドンキの駐車場で荷物とバッグを車の助手席に置いて、運転席に回りこもうとしていた隙に、助手席のバッグを盗まれた」という話もありました。
似たような話がホノルルアドバタイザー紙の日曜版に掲載されていました。
「スーパーの駐車場で車からバッグを盗まれた。ショッピングカートを所定の場所に戻しに行った隙に開けたドアウインドウの外から抜かれてしまった。そして犯人は近くのセルフのガススタンドで満タンにしてデパートへ一直線。そこで数百ドルの買い物をした。盗まれた人は賢明で、すぐにクレジット会社に電話してストップさせた。バッグには財布以外にスマートフォーンと少量の現金、チェックブック、デビットカード、幾つかのお店のメンバーシップ・カード、運転免許証。それらを全部取り換えなければならないというのは本当に大変な労力です。特にこうした犯罪者はシニアの女性、混んでいる駐車場を狙っています。コロナ禍の中でホノルル警察も市の自粛条例を守らせるために仕事を費やされており、こうした小さな犯罪には手が回らないので、ほとんど犯人は捕まらない」という記事でした。
山田副会長からは自分の例としてスマホの「ラインでのやり取り」が報告されました。
友人の名前で「今忙しい?」
山田先生「どうぞ!」
友人の名前「ちょっと手伝ってほしいんだけど」
山田先生「なにをどうすれば?」
友人の名前「近くのコンビニでWeb Moneyカードを何枚か買ってきて欲しいんだけどいいかな?」
山田先生「誰ですか、あなたは?」
友人の名前「ほんとうに本人だよ」
直接その友人に連絡したところ、「ご連絡ありがとうございます。ラインのアカウントがハッキングされました。ご迷惑おかけして申し訳ありません」という返事がありました。
個人情報の盗み方にはいくつもの種類が“開発”されています。最も古い方法ですが、ごみ箱を漁ってジャンクメイル、請求書などから住所と名前を手に入れる方法(dumpster diving)、クレジットカードを渡した時点で相手が番号をコピーしておく方法(skimming)、あるいは役所の名前を騙って個人情報を聞き出そうとする方法(phishing)など様々です。犯罪が急増している背景にはハワイ州経済の大黒柱ともなっている観光業の落ち込みで失業者の比率が全米一になっているほか、ロック・ダウンで人々のストレスがたまるとともにホームレスを収容している幾つかの施設でも感染者が増加し、さらに公園とかビーチなどが閉鎖されてしまってホームレスの行き場がなくなっているという事情があります。またオアフ拘置所内でのクラスターの発生で軽犯罪者が仮釈放されている一方で、ホノルル警察はコロナの感染拡大を食い止めるためロック・ダウンの条例を守らせることに手いっぱいで、軽犯罪までは手が回らない、ということも犯罪が蔓延する下地にもなっているようです。
オアフ島での感染状況についてお知らせします。
オアフ島で連邦政府の支援を受けたプログラムの一環として、14日間にわたって行われたSurge test が、14日に終了しました。6万人以上の人がこの検査を受けましたが陽性が判明したのは266人でした。
コールドウエル市長は記者会見で「この数字は0.6%の陽性率で、新型コロナ・ウィルスが多くのコミュニティで感染拡大していないことを示している」と話しましたが、一方でコロナ・ウィルスはまだいくつかの地域に存在していると強調しました。最も懸念されるのは、先月陽性率が30%と高かった太平洋諸島のコミュニティでの感染と、オアフ島内にあるフィリピンコミュニティで高くなってる感染率で、コールドウエル市長はコミュニティでの感染率の高い地域での検査を実施したいとしています。
9月24日から4段階のうちの第1段階の規制緩和がなされました。レストランもオープンしましたが1テーブルは5人までに制限され、全員が同じ世帯でなければなりません。レストランでは定員総数を50%以下にして、マスク着用の義務、またクラスターが発生した場合に備えて、食事をするグループの代表者一人から、連絡先情報(名前、電話番号、住所)を受け取る必要があります。
私たちの期待する新型コロナ・ウイルスに対するワクチンの開発についてです。
疾病対策センター(CDC)のレッドフィールド所長は16日の連邦議会の上院小委員会で、新型コロナ・ウイルスのワクチンを国民に広く提供できるのは2021年半ばになると証言しました。レッドフィールド氏は、今年11月から12月にワクチンが投与可能になると予想した上で「(供与開始直後は)供給が極めて限定され、対象を絞り込まなければならない」と指摘。国民一般が接種できるようになるのは「21年4~6月期の終わりから7~9月期と見込んでいる」と語りました。
続報です。前回の手紙でもお知らせしましたが、PCR検査に代わるものとしてホノルルの医療研究機関・「オセアニスト」という会社が人の唾で検査できる「ASSURE-19」という検査キットを開発しています。世界で700社以上のチームがこの検査キットのコンペに参加していますが、「オセアニスト」は現在準決勝まで進んでいます。トップ4に入っているということですから心強いですね。小さなチューブに唾を吐きだして、3分から10分で新型コロナに感染しているかどうかの結果が判明する、というもので費用も20ドル前後と言われています。これが一般に普及すれば、かなりの人が安心できるのではないかと期待しています。
閉鎖に追い込まれたレストラン
Ahi Assassins, Artizen by MW, Brewseum, Chart House Waikiki, Dillingham
Saimin, Formaggio Wine Bar, レストトランがぜん、Harpo’s Pizza and Pasta, HASR Bistro, うどん屋JIMBO, Kakaako kitchen, 天ぷら・金子半之助(ワイキキ横丁), 神戸ステーキハウス、リケリケ・ドライブイン, 都レストラン, Malee Thai Restaurant, ノブ・ホノルル, オセアナリウム(Alohilani Resort), Otoro Hawaii Fusion, Plantation Tavern, Pomaikai Ballrooms (Dole
Cannery), Real Gastropub, Top of Waikiki, Uncle Clay’s House of Pure Aloha(Ala
Moana Center), Uncle’s Fish market & Grill Pier 38, Viaggio Honolulu, Wang Chung’s, 山源, レストラン和田、Zippy’s (Pearlridge Center).
「木曜午餐会の歌を作つてからの人生の楽しみは皆さんと毎週会う、唄うと言う、ひと時が有りました、人生の意義や価値は遠去かつて知るも勉強の一つかと? その歌のCDを毎日聴きながら元気に再会出来た時の最初の挨拶をなんとしようかと? 考えて心躍る元気な毎日をくらしています。」玉井宏光
長くなってしまいました。最後に、木曜午餐会の元会長でもありました山谷敏夫さんから「瓦版55号」が送られてきました。その中にハワイ大学公衆衛生学修士(疫学)の岡田悠偉人(おかだゆいと)専門家が日本の「トラベルボイス」に投稿されたハワイの新型コロナ・ウイルスに対する考察が掲載されていました。山谷さんの了解を得て一部を転載させていただきました。
「COVID-19は、観光地ハワイにおける負の側面も浮き彫りにしました。ハワイも近年の観光客増加に伴い、いろいろな側面で負担が大きくなり、ハワイ大学を中心として観光の持続性を疑問視する意見が多くありました。残念なことに、3月初旬からハワイへの旅行を自粛するように要請しましたが、春休みに重なったこともあり、日本から毎日2000人以上の観光客が押し寄せてしまい、同じ日本人として職場(ハワイ大学)でも非難を浴びました。ハワイの高齢者が、感染を防ぐために自宅待機している横を、日本人観光客がスマホで撮影をしながら歩いていたら、誰しも複雑な気持ちになると思います。
人が生活している地域に滞在するという観光地へのリスペクトを再教育していく必要があるように思えます。
ハワイが観光地として成功することで、世界中から多くの投資が集まり、順調な発展を遂げた反面、生活費は高騰し、格差の増大により取り残された人々もいます。ワイキキから車で西に15分くらい走った場所には、低所得者の地域があり、家賃が異常に高騰したことから、1つの一軒家に25人住んでいることもあります。アメリカの資本主義に内包される経済格差にCOVID-19
が加わり、非常に息苦しい状況になっています。観光がストップすることで、まずはホテルの清掃などで働いている、この地域の人々が解雇され、さらに学校が停止することにより、子供たちが学校頼みだったランチを食べられなくなり、Wi-Fiすらなく学習が進まない状況に、大きな衝撃を受けました。そこには、観光地ハワイとは真逆の栄光が広がっています。観光の社会的責任も、今後は議論されるべきでしょう。
ここ数カ月で、ハワイの自然が驚くほど、さらにキレイになりました。自分の網膜の感度があがったと思うくらい、海は青く、森は緑になりました。経済活動や観光で、いかに自然に負担をかけていたのか、特に観光を止めて初めて、いかに観光の継続性を軽視していたかを実感できました。ハナウマ湾では、過去最高に魚が増えて、ワイキキビーチでもウミガメやアザラシがビーチを散歩しています。ワイキキの閉鎖されたショッピングセンターのまわりにも大きな草が生えて、近所に住んでいる海洋学の教授は、うれしそうに珊瑚の変化について解説してくれます。
COVID-19は、良くも悪くも、観光の本質的な地域、歴史、自然など資源を守りつつ、どうやって持続可能な観光を提案していくのかを思慮する機会になりました」
いろんな事を考えさせられる時期でもありました。特に「人と人との触れ合い、人と人とが直接語り合う事」の大切さ、というか人生における重要な意義を再確認させられる期間でもありました。もう少しの辛抱です。「遠いトンネルの先に少しの明かりが見えてきたかな」という気持ちでいます。皆さんと元気で再会できるのが待ち遠しいです。本当にここまでよく耐えてきたと思います。一方、「百里(ひゃくり)を行くものは九十(きゅうじゅう)を半(なか)ばとす」という諺もあります。最後の警戒解除宣言まで、気をゆるめないで乗り切りたいと思います。
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